前回の記事の写真ですとだいぶ読みづらいであろうとのことで
文章だけでもブログにアップいたします。
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ここは風の吹く街。
ここでは風向きがコロコロと変わります。
そこで風を読むことを覚えた人が風船を利用してモノを運ぶことを始めました。
これは天気予報のように風を読むことができるようになる前の話です。
ある丘のある島に旗を建てました。
風向きをみる為に。
これだけでは海の向こう側がどのように風が吹いているかわからないので
風船を飛ばすことにしました。
風船はまず帽子屋さんに飛んでいきました。
帽子屋さんのおじさんは面白半分に飛ぶものかなと
自分のかぶっていた自慢の帽子を風船で飛ばしてみました。
その時風向きが突然変わり強い風が吹きました。
帽子屋さんのおじさんはしまったと気がついた時には
帽子はみるみる風で遥か彼方へ運ばれていってしまいました。
風船に運ばれ帽子がたどり着いたところはある少年と暴れまわっている1羽の鶏のところでした。
鶏はたいそう帽子が気に入り中に入ってじっと静かになりました。
その鶏は何故かその鶏が卵を産まないと他のすべての鶏が卵を産まないという不思議な鶏でした。
ここ最近その鶏が卵を産まなくなり卵を売って商売していた少年は悩んでいました。
風船に運ばれてきた帽子はとても立派な帽子だったので、
帽子を売ってお金にしようと思いました。
鶏をどかしてみると帽子の中に久しぶりの卵を産み落としていました。
すると今まで産んでくれなかった他の鶏たちもみんな卵を産み始めました。
少年はたいそう喜んで帽子を鶏に返しました。
幸運の帽子を運んでくれた風船にとても感謝して、
自分も何か風船で飛ばしてみようという気持ちになりました。
少年には卵しかなかったので卵を風船で送ることにしました。
次に風船がたどり着いたのは額屋さんさんでした。
額屋さんその時必死で絵を描いていました。
今回は額に入れるための絵ではなくコンクールに出すためのものでした。
締め切りが近かったのですが、絵の具を作るための卵がなくて困っていました。
そんなところに風船で卵が届いたものですからたいそう喜んで一気に絵を描き上げました。
楽屋さんは風船にお礼をするつもりで自慢の額を風船に付けて飛ばしました。
次に風船がたどり着いたのは本屋さん。
本屋さんはそろそろ老い先も短いだろうと肖像画を描いてもらいました。
最後だからおと有名な画家に頼んだもので、額にまでお金が回りませんでした。
絵を飾るための額をどうしようと思っていたところにフワフワと額のついた風船が飛んできたので、
これは自分への贈り物と思い風船から外して絵をはめてみるとなんとピッタリでした。
この感謝の気持ちを風船で自分も返そうと思い自分の愛読書を風船につけて飛ばしました。
次に風船がたどり着いたところはなんと初めの帽子屋さんでした。
遠くから自分の方へ飛んでくる風船を見て
帽子が帰ってきたと喜びました。
しかしいざ近くに来て見てみると何故か帽子ではなく本が運ばれてきました。
なぜ帽子が本になったんだとしぶしぶ本を開いてみると一瞬にして本の内容にのめり込み読みふけってしまいました。
さっきまで持っていた風船のことを忘れ風船はまた空へと飛んで行きました。
そして最後に風船は旗の丘に帰ってきました。